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            特集記事 世界の宗教観(2004/08)
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アメリカ同時多発テロ以降、世界は二つの戦争を体験しました。テロも戦争も、その背景には宗教が絡んでいることは否めません。日本人はオウム真理教の一連の事件から、ますます宗教への拒絶反応は大きくなったといえるでしょう。しかし、海外での生活は、宗教について考えさせられる機会が多いと思います。そこで今月は宗教観について考えてみたいと思います。

特定の宗教を信仰している人は別として、海外で「あなたの宗教は何ですか?」という問いに、日本人は「無宗教」と答える人がいるかもしれません。その場合、欧米の人からは「無神論者で科学合理主義か、先祖への敬意の念を持たないのか」と思われかねません。かといって、ただ「神道」などと答えると、神社は何曜日に行くのか、経典は何で、戒律はどうだ、などと質問攻めに遭ったとき、すべてにあいまいに答えてしまうと、「それで宗教なのか」と疑問を投げかけられてしまうでしょう。イスラムの国などでは、「我々は一日五回、神に祈っているが、その間に日本人は働いてお金儲けをしている」というので、エコノミックアニマルと揶揄されたりもします。

日本の二大宗教は、神道と仏教です。よくよく考えると神道と仏教は日本人の生活に深く密着していることに気づくと思います。例えば、初詣、お盆、お宮参り、冠婚葬祭などの慣習的な行事も広い意味では宗教の一部ですし、苦しいときに思わず「神様!」(もしくは仏様)とつぶやいたり、先祖のお墓の前で死者に話しかけ、見守りを期待したり。(ちなみにキリスト教では、亡くなった人の魂は神と共にある、と考えるため、日本のように定期的にお墓参りをする習慣はないようです)そういった意味で大半の日本人は、日常化した自然宗教の信者と言えるかもしれません。冒頭の問いに対しては、「無宗教」ではなく、「宗教が慣習として日本人の生活に自然と溶け込んではいるが、大半の日本人に深い信仰心はない」と答えたほうが適切かもしれません。

インターンの中にも「私は宗教を信じていません。興味もありません。」「外国人と文化交流するのがプログラムの目的なのでしょうが、その外国人の理解、交流のために宗教まで従う必要があるのでしょうか。」「信者でもない自分が、熱心なカトリック教徒であるホストファミリーと一緒に教会に行っていいのでしょうか。断りたいけど、関係がギクシャクするのが恐いです。」と心配する方もいらっしゃいます。

もちろん、どの宗教を信仰するかは自由ですし、宗教そのものを信仰しないのも自由です。しかしこれだけ世界が狭くなり、宗教に関連した様々な事件が起きている現代では、もう少し宗教について考えてみる必要がありそうです。宗教を通して、その国の人々の根本的な考え方を学ぶこともできるでしょう。大切なのは、自分の意見をしっかり持った上で、相手の考えも尊重できることではないでしょうか。教会に行くのをお断りする時などは、自分の考えもはっきり述べることも大切です。

これを機会にもう一度、宗教観について、じっくり考えてみてはいかがでしょうか。様々な宗教の歴史や観念を知ることは、自分の視野を広げる上でも大きな役割を果たしてくれると思います。皆が宗教に対して無関心、もしくは偏見を無くし、一人の人間としてお互いを尊重しあえる社会が構築できれば、争いを肯定している宗教など皆無なのですから、戦争も無くなるかもしれませんね。


◆個々の宗教や行事については「海外インターン生活・安心ガイド」の資料編をご参照下さい。

◆インターン皆さんからの宗教についての体験談はこちら
< http://www.clubiip.com/shukyo-taiken.html >