美しい田園地帯で農作業を初体験
大塚誠子さん
フランス
私はこのアルザス地方で、ワインをブドウ作りから学んでいる。私が暮らすアメルシュヴィールもそんな村のひとつ。私がカルチャーインターンとしてこの村に来たのは4月。研修先であり滞在先のワイナリーでは、ちょうど前の年に作ったワインをボトルに詰める作業の真っ最中だった。このワイナリーでの私の仕事は、ワインを詰め終わったボトルをケースに入れて倉庫にしまう作業から始まった。1日2万5000本のボトルを、ただひたすらケースに詰めていく作業。すぐ手に瓶ダコができた。それから3ヶ月間、私はまさにワイン作り一色の毎日を送っている。夏の間は一日中ブドウ畑で作業。朝6時半に起き、軽い朝食をとったあと、8時から昼食をはさみ、夕方6時までみっちり働く。私の仕事は四方八方に延びているブドウのつるを素手でまとめていくこと。単純作業とはいえ、東京育ちで、ブドウの木に触れるのも初めての私にとって、農作業は楽なものではない。つるは力を入れすぎるとすぐポキッと折れてしまうので、ビクビクしながら作業していた。ホストファーザーのジャンはよく“折れても平気。怖がらないで!”と。とにかく、来る日も来る日も畑仕事。初めは日焼けがイヤ、手が汚れることもイヤだった。今ではもうすっかり腕も顔も真っ黒(笑)。私が研修するジャンさんのワイナリーは無農薬栽培にこだわり、手間暇かけてブドウを育てている。ジャンさんが所有するブドウ畑は、およそ5万ヘクタール。東京の山手線の内側よりひとまわり小さいくらいの面積だ。広い畑をジャンさん、奥さん、従業員1名のたったの3人で切り回している。このワイナリーで作られるワインの60パーセントは、アメリカやオランダなど、海外へ輸出されているが、残念ながら日本では手に入らない。ジャンはいつも、おいしいワインに愛着を持って取引してくれるワイン業者とつき合いたいといっている。