障害のある子どもたちとのキャンプで
杉山ひかりさん
アメリカ
杉山さんが派遣されたのはミネソタ。障害のある子どもたちを週末預かり、親を解放してあげるためのキャンプを運営しているNGOだ。森と湖に囲まれた100エーカーの敷地にキャビン20棟、ホールやオフィス。世界中からのボランティアや学生を含むたくさんのスタッフが活動を支えていた。「キャンプではどんな障害のある子でも引き受けるのが基本なんです。だからトイレから食事、歩行まですべて助けが必要な人がいるかと思えば、話を理解できない子もいて一人一人状況が違う。私は妹が障害をもっているので自分は慣れていると思ったけれど、やっぱり大変でした。初めはとてもこれを1年間は続けられないと思ったくらいです」こちらはまだ英語にも慣れていない。だが言葉が通じないからこそ、子どもたちの素直な反応にも助けられ、毎週別れがくるたびに胸が熱くなった。特に思い出深かったのが、身のまわりのことは自分でできる知的障害の子どもたちとの旅行だ。もともと旅好きな杉山さんだから、ツアーコンダクターとしての能力も発揮、テキサスやナッシュビルへ。「旅行して感じたのは、アメリカでは本当に障害者が隠れていないということ。飛行機でもどこでも、まわりの人が話しかけてくるからすぐ友だちになっちゃう。コンサートに行けば舞台の一番前に行ってしまう彼らにミュージシャンが声をかけ、ディスコに行けばみんなで踊りまくる。彼らと一緒になってチークダンスを踊ってくれるおじさん、おばさんなんて日本では考えられない。ここでは障害のあることは恥ずかしいことではないんだって、思いました」また週に2回は町の老人ホームでのボランティアも体験。お話を聞いたり、車椅子でダンスをしたり、折り紙も教えた。そして夏の間は毎回130人の参加者に80人のスタッフ、カウンセラーという10週連続泊まりこみのサマーキャンプ。キャンプファイアの火のつけ方から緊急時の対応、オムツの替え方まで、事前に2週間のオリエンテーションもあったが、体力と精神力が試される楽しくもハードな日々。「最後の日にはみんな私のまわりで輪になって歌を歌ってくれて、別れのビッグハグ(抱擁)をして。つらかったこと、苦しかった、楽しかったこと、感動したことも全部思い出して涙、涙でした。私の人生の中で忘れられない1年になりました」