NZの自然と子供達から生きる力をもらった
大原裕子さん
ニュージーランド
研修先は、ニュージーランドのナルアワヒアという田舎町。カトリック系の私立学校で、生徒は5歳から14歳の子供達が130人位、5クラスだけの小規模校です。子供達はとても伸び伸びしていて、いたずらに手を焼くこともありましたが、とてもなついてくれました。正月、節分、雛祭り、端午の節句、七夕等々、日本の四季折々の行事を紹介し、様々な遊びをしながら日本語を教えました。子供達はとても好奇心が強く、地に水が染み込むように吸収していき、私の不慣れな英語でもついてきてくれました。印象的だったのは、雨の日のできごとです。子供たちは雨の中でも平気で遊び、雨に濡れながら、「日本語でrainってなんて言うの?」と聞きに来ました。「あめ」と教えると、濡れながら走り回って「あめ、あめ、あめ」と歌うように繰り返していました。子供達は雨の音、感触などを頭だけでなく五感で感じとりながら、「雨」という言葉を覚えたわけです。ホストファミリーは優しい老夫婦でしたが、娘さん夫婦が共稼ぎなので、3人のお孫さんを預かっており、いつもその子供達といっしょに家族同然にすごしました。周りは山や川、牧場ばかりで商店が1つしかないという環境です。そこで地元にすっかり融け込んで、冠婚葬祭や地元の様々な行事にすべて参加し、すっかりニュージーランド人になりきった1年間をすごしました。研修中にプライベートのできごとで落ち込むこともあったのですが、ニュージーランドの自然と子供達に何度となく勇気づけられたし、経験を通じて、コミュニケーション能力とは、知識や語学力ではなく、身近な人に対する好奇心や共感を通して、ともに生きていこうとする力なのだと確信しましたね。