布で「絵を描く」。そのマジックに魅せられて
今泉聖子さん
アメリカ
好きなことを仕事にするのは難しい、そう諦めかけていた今泉聖子さんを、アメリカでのインターン体験が変えた。もともと絵を描くことが好きだったという今泉さんは、大学で芸術学を専攻。やがて布という素材に興味をもち始める。布を組み合わせて何か表現できないだろうか、そうして出会ったのがキルトだった。以来、独学でキルティングの技術を習得していく。しかし大学卒業後、関連分野の会社に就職したものの、希望どおりの仕事に就けず転職。「このとき、好きなことと仕事とを結びつけるのは難しいと悟りました。だから、キルティングは趣味としてやっていこうと。でもやっぱりあきらめきれない。なんとかこの状況を変えたいと思っていたころ、インターンシップのカルチャーインターンの存在を知ったのです。私のインターン先はアメリカのポートランド。趣味でキルトを作っている方のお宅に滞在し、そこで6ヵ月間、キルトの世界にどっぷり浸かった。毎週1回、ホストマザー宅に8人ほどのキルターが集まり、ベッドカバーなど大きな作品を共同で作っていました。私はそれに参加したり、空いている時間を使って自分の作品を作ったり。また、ノースウエスト・キルターズという200人ほどのメンバーを抱える団体があるのですが、その定期会にも参加したりしました。とにかくアメリカにはキルト好きがたくさんいるんです。さらにキルトショップ主催のキルティングクラスも受けながら、一気に技術を錬磨。それまで伝統的なキルトのパターンを好んでいた今泉さんだったが、ここでアートキルトというデザイン技法を知り、強く惹かれるようになりました。絵を描くようにキルティングする。自分がやりたいのはこれだと思いました。その後フェニックスにあるキルトショップのオーナー宅に移り、さらに3ヵ月インターンを続けました。ショップではキルティングクラスも開いていて、レベル別のキルティング技術、ミシンの使い方、ハンドアップリケやパッチワークといった技法別クラスなど多々ある中から、週2回ほどの割合で受講しました。無料で受けさせてもらえたため、クラスで使うプリント資料や顧客宛てのメールを作ったり、あるいは生地を切ったり運んだりと、できる限りショップの手伝いもしました。おかげで、アメリカのキルターが何を求めているのか、何が流行っているのかを知ることができました。さらにアメリカではキルトに対する考え方がとても自由で、個性を生かせる土壌があることを実感しました。さ