日本語プログラムにびっくり
違いがあるってこんなに面白い

西嶋良枝さん
アメリカ
西嶋さんは結婚後、二人のお子さんを育てながらずっと自宅を中心に英語を教えてきた。「ところが教える私自身がアメリカにも行ったことがなくて。下の息子も大学に入ったし、親も元気なうちに、行くなら今しかないって、宣言しまして」派遣先は偶然にもかつて娘さんが留学したオレゴン州。ポートランドから車で1時間、Sheridanにある「日本語プログラム」のある公立の学校だ。4年生から12年生までどの学年にも毎日日本語の授業があり、日本語の能力別でクラス分けがされている。「驚いたのは靴をはきかえることや『起立、礼』などの挨拶、朝会など日本の様式をまねた学校生活なんです。毎日宿題も多いし、おまけにアメリカでは当たり前のドラッグ問題が、ここにはないんですよ」日本語能力は5段階に分けられ、最初は平仮名のマスターから、最終レベルでは漢字まじりの日本語で日記を書き、自由な会話ができることをめざす。「話す、聞くが中心だから、最後には天気予報だって理解できる子もいる。日本の英語教育とは大違い」さらに実際に暮らしてみて、文化の違いとはこんなに違うのかという経験を幾つもした。ディナーに呼ばれて正装して行ったら、庭で焚き火をしてソーセージとマシュマロを焼くだけだったこと。人を招待しても家の掃除など気にしない人も多いこと・・・・・・。「人の違いや個性を尊重するアメリカ。でも日本社会特有のきちっとしたけじめも大切だと思う。両方のいいところをミックスできたらいいのに」とても印象的だったことがある。「ここで何をしているの」と聞かれて、ボランティアで教えていると言うと、相手の目がたちまちパッと輝くのだ。「アメリカではボランティアに対する社会的評価がとても高いんです。日本は逆。お金をもらってないと恥ずかしいと思う人もいる。すごい違いですね」それでもみんな同じ人間・・・・・・。9ヵ月の活動を終えた西嶋さんは、今地元の千葉県で通訳のボランティアをし、3ヵ国の友人とEメールで通信、そしてシニア向けの英語教室も計画中。「高齢の方にこそ、新しい世界の扉を開くようなお手伝いができれば」